概要

背景

111の活火山を抱え,火山近くに都市が形成されている我が国では,大規模噴火により放出される大量の火山灰は,交通機関の麻痺や公共インフラの被害などを引き起こし,その地域の日常生活や経済活動に影響を及ぼします.このような火山灰による被害を防ぐために,大気中の火山灰の挙動を理解し,その分布を監視・予測する技術を確立することが求められています.

桜島では,これまで様々な大学や研究機関がそれぞれの目的に沿った観測機器により噴煙のモニタリングをおこなってきました.例えば,XバンドMPレーダによる噴煙柱観測(京都大学防災研究所,気象庁気象研究所,神戸大学,国土交通省大隅河川国道事務所),Kaバンドドップラーレーダによる噴煙柱の観測(防災科学技術研究所),Xバンド船舶レーダによる噴煙柱観測(鹿児島大学,光電製作所,北海道大学,FRSコーポレーション),Kuバンドドップラーレ―ダによる降灰観測(鹿児島大学,大阪大学),ライダーによる噴煙の観測(京都大学防災研究所),ドローンによる噴石や気象場の鉛直プロファイルの観測(京都大学防災研究所,日本気象協会),高速度カメラ撮影による噴石の観測(山形大学),高感度カメラによる噴煙監視(気象庁,国土交通省),webカメラによる観測(熊本大学,南日本新聞),光学式ディスドロメータによる降灰粒子の観測(京都大学防災研究所,気象庁気象研究所,防災科学技術研究所),地上の降灰堆積物のサンプリング(国土交通省,鹿児島県,鹿児島市)などです.これらの情報は論文や各機関の報告書などで公開されているものもありますが,体系的にまとめられておらず,また,非公開の資料も多くあります.このため,せっかくの情報が有効に活用されにくいあるいはされないといった状況にあります.

目的

過去の顕著な桜島の噴火事例に関する噴煙情報を収集・データベース化し,火山研究や防災対策に役立てることを目指します.

特徴

特に気象レーダの観測データを解析し噴煙情報(噴煙高度,降灰量,降灰面積.降灰時間)を求めています.噴煙の水平分布や鉛直構造の時間変化を直感的に理解できるように,動画で噴煙情報を紹介している点が特徴の一つです.また,噴火に伴って発生した現象(火砕流,噴石,空振など)や発生年,噴煙高度などから検索し,該当する噴火を抽出する機能を備えています.

謝辞

本webサイトの開設と運用にあたって,文科省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」(2016-2025),JSPS科研費降灰量分布を決定する気象学的および火山学的素過程に関する研究(課題22K03760)」(2022-2024),内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIPⅱ)」(2018-2022)の助成を受けました.