船舶レーダ

概要

船舶レーダは船舶の安全運航目的として広く普及しているレーダです。船舶レーダの特徴の一つとして,ファンビームを用いた高速スキャンがあります。地震火山地域防災センターではこの特長を利用して,噴煙柱や噴石や火砕流の機動的な観測をおこなっています。

Fig.1はマグネトロンタイプの船舶レーダの構成です。レーダはレーダユニット(送受信機・アンテナ・レーダ制御パネル)と観測画像収録ユニットの二つから構成されます。画像収録ユニットはレーダユニットで作成される画像データをPCのハードディスクへ保存する役割を果たします。

表1にレーダの仕様を示します。長さ2mのスロットアンテナを採用し,波長が3cm,ビーム幅が水平1.2°、垂直22°のファンビームを射出します。アンテナの回転速度は最大48 rpmです。本研究ではアンテナの回転軸を90゚傾け,火口方向に向けて縦回転させることにより,噴火直後の噴煙柱の鉛直構造を観測します。

送信機として固体化素子を使った船舶レーダが実用化されつつありますが、今後の火山噴煙柱の観測の利用に期待されます。